章 983

凡海上で密航「ビジネス」で金を稼ぐ者は、船に常備する銃器の他に、救急用品と食料も同様に重要だ。

だから、楚鋮が救急箱に麻酔薬がないと言ったのは、明らかに嘘をついていて、百パーセント沈雲在をからかっていたのだ。

他人事なら高みの見物、自分事なら必ず混乱する……沈雲在の賢さをもってすれば、少し戸惑った後すぐに楚鋮の小細工を見破った。

沈雲在は振り向いて見てはいなかったが、彼女の予想は外れていなかった。楚鋮は口では麻酔薬が見つからないと言いながらも、すぐに二つの小さな注射液を取り出し、さらに約三分ほどいじくり回した後、ようやくそれらの薬剤を注射器に吸い込んだ。「はぁ、今までこういうものを扱った...