章 452

鄧潔は心に抱えた思いで一晩中寝返りを打ち続け、ほとんど眠れなかった。頭の中は陳飛の姿でいっぱいで、振り払うことができない。この男性がいつ彼女の心に種を蒔いたのか、彼女自身にもわからなかった。

翌日早朝、まだ夜明け前のぼんやりとした時間に、大軍が戻ってきた。慌ただしくドアをノックする音に、鄧潔はすぐに起き上がってドアを開けると、大軍は手に持っていた不動産証書などの書類を全て一気に鄧潔の腕の中に押し込んだ。

鄧潔は微笑んで大軍を部屋に引き入れた。あとは老王の方次第だ。しかし今日一日、彼女はその年配の男に一本も電話をかけるつもりはなかった。

これはいわゆる太公望の釣りだ。餌に食いついてくる者を...