章 508

杨斌はいかに聡明な男か。この業界で長年揉まれてきた彼は、今日王教授が生物工学局の床を踏みしめたからには、どうしても成し遂げねばならぬ事があるのだろうと察していた。

そして王教授に付き添ってきたこの陳飞という男は、きっとあの頑固な老人を抑えられる人物に違いない。

一見すると平凡で、威厳を内に秘めているが、いざという場面や正式な場では場の空気を一変させる力を持つ人間というのがいるものだ。この陳飞という男は今はそれほど目立たないが、もしかするとそういうタイプかもしれない。だからひとまず、彼らが今日何をしに来たのか見守ることにした。

一行は受付を素通りし、奥のオフィスエリアへと進んだ。勤務時間中...