章 516

この瞬間の感覚は陳飛にとって極限の体験だった。ようやく特殊工作員がなぜあんなにカッコいいのか理解できた。毎日こんな高圧的な緊張に耐えているのだから、普通の人間がカッコつけようとしても、できるわけがない。

検査官の指が陳飛の下着の縁に隠した薬の容器に触れそうになった瞬間、後ろから誰かが声をかけた。

この声に陳飛は魂が抜けそうになった。今や驚きを通り越して、彼の頭は完全に血が上った状態が続いていた。

声の主は先ほど話していたもう一人の検査官で、今は「ふうふう」と息を切らしながら機械を押して近づいてきていた。見たところ、その機器はそれほど大きくないが、かなり重そうだった。

陳飛は一瞬固まり、...