章 665

「飛ちゃん、黙って!」と蘇浅語に声をかけられた陳飛は、素直に口を閉ざした。この女の性格をよく知っている。普段は決して慌てるタイプではない。彼女がこんな風に叫ぶのは、きっと何か理由があるはずだ。

陳飛は彼女の視線の先を見つめた。前方はあいかわらず真っ暗で、何も見えない。だが背後ではテロリストの砲火が迫ってきていた。

蘇浅語は逃げようとしたようだが、二、三歩動いただけで、またその場に立ち止まってしまった。

これには陳飛も焦りを感じた。今は万能状態を発動しているとはいえ、このままじっと立って死を待つなんて、絶対に許せない。

彼女の手を引こうとしたが、蘇浅語はびくともしない。陳飛は心臓が跳ねる...