章 826

陳飛が歩いていくと、その人だかりから「こいつだ!」という声が聞こえてきた。

彼は一瞬固まり、声のする方を見た。

まぶしく光る大きな金のチェーンが、陳飛の目を眩ませんばかりだった。

くそっ!

陳飛はその男を見て一瞬身を引いた。どこかで見たことがあるような気がする。

だが、どうしても誰だか思い出せなかった。

金チェーンの男は横にいる制服姿の男に言った。「間違いない、こいつだよ。王おじさん、監視カメラでハッキリ見たんだ」

陳飛は額に黒い筋を浮かべ、後ろにいる譚惜柔を振り返った。

譚惜柔も何が起きているのか分からないという顔で陳飛を見ていた。

陳飛は怒りを抑えながら金チェーンの男に近づいた。

軽く咳払...