章 850

普段から面倒事に首を突っ込むのは陳飛の方だというのに、今回は沈嘉琪に先を越されてしまった。

高慢な女神様に対する彼の認識が、この瞬間に一変した。

普段は他人事に関わらず、高みの見物を決め込んでいる沈嘉琪が、困っている人のために立ち上がり、女侠に変身するなんて、陳飛には想像もできなかったことだった。

陳飛はその瞬間、沈嘉琪に対して恋慕以外の感情が湧き上がるのを感じた。

尊敬?

そう、尊敬と敬意だ。

陳飛は周囲の暴走族の一団を見渡し、それから沈嘉琪に視線を移すと、唇の端に微笑みを浮かべた。

突然、後頭部に鋭い痛みが走った。

くそっ……

陳飛は慌てて振り返った。

一体どのバカが、自分が女神の素質を鑑...