章 919

男は手にしたコンパスが微動だにしないのを見て、唇に不気味な笑みを浮かべた。

その後、彼はコンパスを置くと、山肌に建てられたこの密室を再び出た。

アンナはさっきと同じ場所に立ったままで、まるで彫像のように微動だにしていなかった。

主人の命令がない限り、彼女の活動範囲はハイヒールの二足分しかなかった。

彼女は主人の命令をいつでも聞けるようにここに立っていなければならず、少しも怠ることはできなかった。

男が密室に入る前の表情を見て、アンナは全身に不快感を覚えた。魂の奥底から漂う陰鬱さは、世界最高峰の暗殺者である彼女でさえ、身の毛がよだつ思いだった。

しかし主人が再び中から出てきた時、その表情はさっき...