章 38

森で血が流されただけではなかった。いや、か細い小さな木までもが地面に倒れ、その木材には血痕が飛び散っていたのだ。学校へ行く前、車から双眼鏡で覗いて気づいたのである。

しかし、まったくもって理解不能である。

狼が木をなぎ倒せるほどの力を持っているなんて、あり得ない。それに、地面に残された足跡はあまりにも大きすぎた。どちらかと言えば熊か何かのものに近い。念のためスマホで調べてみたが、犬の足跡に似た形ではあるものの、やはり大きすぎるのだ。

狼の襲撃報告に今度は熊の襲撃報告まで加わり、事態が長引くにつれて、ますます状況が把握できなくなっていくのを感じる。さらに、警察からのリークとされる新たな情報によれ...