章 39

世界が止まったみたい。近くのざわめきさえも静まり返る。

アレックスが車から降りてくるのを見た途端、わたしはすぐにでも泣き出しそうになった。彼だとわかった瞬間、もう何も見えなくなって、すぐに駆け寄った。抱きしめて、キスをして、そして……。

でも、彼がどんな姿をしているのかをちゃんと見て、わたしは足を止めた。

なんだか、内も外も、死んでいるみたいだった。

髪は少し伸びていて、ぼさぼさだ。いつもみたいに、きれいに後ろへ流した優雅なカールとは全然違う。よれよれの白いTシャツを着ていて、襟の近くには穴が開いているみたい。ジーンズは膝の部分が擦り切れて、ほとんど白くなっている。松の香りはまだするけれど、な...