章 42

見知らぬ男が微笑むと、背筋に悪寒が走る。

微笑みには、実に様々な感情が込められているものだ。幸福な時もあれば、苦痛に顔をしかめている時もあるし、皮肉っぽく歪められている時だってある。微笑みは、必ずしも良い知らせとは限らない。

そして、生まれてこの方、これほど悪意に満ちた微笑みを見たことがないと、私は思う。

学校は……閉まっているはずだ。警備員たちがドアに鍵をかけて、そいつが入れないようにしたに違いない。そうだろう?

相手は首を傾げながら、私が一歩後ずさり、学校の暗闇に吸い込まれてしまいたいと願うのを見ている。

その時、相手がトレンチコートのポケットに手を突っ込み、何かを取り出すのが見えた。手...