章 43

今にして思えば、アレックスが狼男だったというのは納得がいく。もちろん、僕にそんなこと思いつきもしなかった。狼男が実在するなんて、知らなかったのだから。

だが、彼らは実在する。そして、彼らが戦うとき、それは獰猛そのものだ。

爪と牙がすべてであり、体重と力を最大限に利用する。もし相手が人間だったら、数秒で肉塊と化すだろうことは間違いない。

アレックスが見知らぬ男をロッカーの列に叩きつけると、男は再び甲高い悲鳴を上げた。僕は身を縮こませたまま顔をしかめたが、声一つ立てなかった。

アレックスは相手の頭を掴むと、捻りを加えて床に叩きつけた。床にできた新しい小さな窪みに、血が滴り落ちるのが見えた。

だが、...