章 6

またしても。アレックスがどういうわけか私を助けに来てくれた。一度なら偶然。二度目は……これはもう、偶然とは言えないわね。

寒くてびしょ濡れで、顔を彼――アレックスの首筋にうずめているというのに、彼は私をいとも簡単に抱きかかえている。彼が動き出すのを感じて、私は口を開いた。

「……本が」

「え?」

「私の本……椅子……椅子の上の」

「……今、本気で本の心配してるのか?」

心地よい松の香りから顔を離し、とろんとした目つきで彼を見上げる。彼も私を見つめ返し、やがてため息をついて首を横に振った。

「本の虫だな、おまえは」

アレックスは私がリュックを押し込んだ場所を見つけて拾い上げると、再び暗いプール室...