章 62

昨夜はよく眠れなかった。重い心と千々に乱れた思いのせいで、追いかけられたり、アレックスと離れ離れになったりする悪夢にうなされ、何度も目が覚めてしまったのだ。

ここへ来てから毎日しているように、母におはようのメッセージを送ってから、ベッドを這い出した。

昨夜のアレックスの言葉が心に重くのしかかる。母以外に「愛してる」なんて言ってくれた人は誰もいなかった。今でも枕を抱きしめて泣き叫びたいくらいだ。

でも、今は泣けない。アレックスのために強くならなくちゃ。彼がすでに感じている以上に、避けられない運命を後悔させるなんて不公平だ。私にどうすることもできないように、彼だって自分の運命には抗えない。それに、...