章 70

なかなか寝付けなかった気がするけど、あんなによく眠れたのは初めてかもしれない! アレックスの夢を見た。それ以外はあまり覚えていないけれど、ただ、私たちはここにいなくて、彼は人狼じゃなくて、そして私たちは幸せだった。

一晩中、彼を背にして眠った。まるで安心毛布みたいに私を包み込んでくれて、それは素晴らしかった。

今は彼より先に目が覚めた。彼に見とれるために、仰向けになる。彼はまだぐっすり眠っていて、その顔は天使のようだ。獣の気配も、短気なところも微塵もない。

苦痛の兆候も、ない。

廊下の奥からの物音に、私ははっとして注意をそちらへ向けた。アレックスとソファで寝たなんて誰にも知られたくないから、彼...