章 79

何かを察したのだろう、彼らの歩調が速まる。

私たちが小川にたどり着くと、彼らは水の中を右へ進み、私に水しぶきを浴びせかけ、不快感を募らせた。

私は気合を入れ直し、何とか耐え抜いた。だが、まもなく私たちは水から上がり、山の麓まで戻り、登攀の準備は整っていた。

その時、匂いがした。血の匂い。そして、松の香り。アレックスだ!

まだ彼の姿は見えない。私たちは山を登り始めたが、歩みは遅く、私の視界はまた何も捉えられなくなっていた。匂いはますます強くなり、体がピリピリと疼き始めた。

あの、馴染み深い疼き。私たちは本当に近くまで来ているに違いない……。

突然、リタが身をかわしたため、私は滑り落ちた。彼女は前...