172話

彼は混乱し、私をどう扱えばいいのか分からないような顔で見下ろしてきた。

「ここで『お誕生日おめでとう』って言うところよ」と私は囁くと、彼の硬い表情が少し和らいだ。

「誕生日おめでとう。最低な親を持つのがどんな感じか知ってる。彼らに楽しみを台無しにさせるな」

「若い人、そんな言い方は」とジェニファーが言ったが、私は笑顔で彼女を無視した。チャーリーが彼女をダイニングエリアへ引っ張っていく時の呟きが聞こえた。

トリスタンはポケットに手を入れ、またあのネックレスを取り出した。あの同じネックレス。彼がそれを掲げて尋ねるように見せたので、私は背を向け、彼に首に掛けさせた。彼が身を乗り出した時、彼の唇が私の...