229話

クローゼットから彼女の横を通り過ぎて、ドレスの一つを手に取る。

それは一年生の時にトリスタンが私にくれた黒いドレス、卒業ガラパーティーに着るはずだったもの。ずっと持っていたけれど、一度も着たことがなかった。誰も不快にさせたくなかったから。でも、男子たちがここにいないなら……

「生サルサ音楽とダンスができる場所を知ってるの」ミランダに伝えると、彼女はにっこり笑った。もし一晩中踊り続ければ、この不安と心配を少しは発散できるかもしれない?

たぶん。

私たちは準備を終え、ミランダに髪とメイクをしてもらってから、こっそり出かけて、私のローズゴールドのマセラティで夜通し踊りに行った。

予想外だっ...