第13章

翌年の冬。神崎小百合名義のPR会社は、個人情報の不正取得と世論操作の嫌疑により、正式に破産手続きを開始した。かつてネット上で狂ったように小坂遥を攻撃し、「社会的抹殺」を声高に叫んでいた匿名アカウントの所有者たちも、藤崎ホールディングス法務部の手によって一人残らず法廷へと引きずり出された。

数度の株価暴落と信用危機を経て、藤崎ホールディングスはようやく、藤崎礼のなりふり構わぬ剛腕によって息を吹き返した。

この日の深夜、礼は東都本社の最上階にあるCEO執務室のソファに、一人深く沈み込んでいた。

会社に泊まり込んで半月、ようやく訪れた最初の休息だったが、ひどく隔世の感を覚える。

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