53

第十五章 ――匂い

町ではパレードや祭りが続いているというのに、俺たちはその日の午後、リゾートで氷を詰めたバケツ入りのコロナを注文し、だらだらと時間を潰していた。パオラが出ていってから何時間も経っており、俺は焦れていた。今朝交わした言葉が、頭の中で何度も何度も再生される。そのたびに、気分はさらに悪化していった。

ユードラを巡る状況全体が、どうにも気に食わない。答えは指先で触れられるほどの距離にあるように感じるのに、手を伸ばすたびに、まるで頭に霧がかかったようになる。はっきりと見通すことができず、俺の中のアポロもまた苛立っていた。腹の底で何かがしつこく疼いている。だが同時に、罪悪感もあっ...

ログインして続きを読む