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第二十三話 空へ

日の出までまだ数時間ある中、俺たちは静寂に包まれて空港へと車を走らせていた。ハンドルを握るのはマテオで、ワイルダーが助手席に座る。後部座席では、ユードラがパオラと俺の間に挟まれるようにして座っていた。

「まだ彼女の不安が伝わってくる」マテオが念話で話しかけてきた。

「わかってる。どうすればいい?」

「彼女の手を取って、握ってやれ。番の絆が彼女を落ち着かせるはずだ」と彼は言った。

彼女は両手を膝の上に置き、静かに座っている。俺は彼女の手に手を伸ばし、ピリピリとした感覚を覚えた。胸の内でアポロが満足げに喉を鳴らし始め、穏やかな幸福感を放つ。ユードラは俺の手に視線を落とし、涙を...

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