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第二十六章――人間

「彼女に話したんだってな」

朝食のテーブルに着くと、ワイルダーがそう言って出迎えた。

俺はユードラの姿を視界に入れておけるように、リゾートの屋外レストランにある、ビーチの見えるテーブルを取るよう指示しておいた。彼女はビーチの長椅子で眠っているのか、あるいは物思いに深く沈んでいるのか、そんなふうに見えた。アポロがクンと鳴く。できることなら、あいつは彼女のビーチチェアの隣の砂浜に、大の字で寝そべっていただろう。

「昨夜のダイビングはどうだった?」俺はワイルダーに尋ねた。

「最高だったぜ! 海底に座ってダイビングライトを点けたんだ。そしたらプランクトンが光に引き寄せられてきて、...

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