第58章 老いた男は体力がない

朝本ヒカリは驚いて駆け寄り、男性が差し出した手を掴むと、一気に背負い投げをかけた。

ドン!

男性は地面に倒れ、綿菓子も落ちた。

朝本ヒカリは白雪姫を毒殺したリンゴでもあるかのように、その綿菓子を一蹴りで飛ばした。

彼女は緊張した様子で藤井康太を自分の側に引き寄せ、彼を見回した。

「康太、大丈夫?」

「姉さん、僕は大丈夫だよ。あの人はどうかわからないけど」藤井康太は地面に横たわる人を指さした。

朝本ヒカリが見ると、その人はまだ横になったままで、手足が長く、背が高くて痩せていた。

彼女の視線に気づくと、彼は右手を上げて力なく振った。

「お姉さ...

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