第121章

「私の口の利き方に指図しないで」

安藤絵美は高藤琉唯に淡々と言い返した。

そして原田桐也に視線を向ける。

「桐也様、疲れました。帰りましょう」

原田桐也は頷くと、安藤絵美の肩を抱いて別荘を後にした。

古村苗も慌ててその後を追う。

「親父、まさか妹の娘が、今になって原田桐也の婚約者になっていたとはな……。原田の爺さんは知っているのか? よく同意したもんだ」

高藤加井は信じられないといった表情で高藤お爺さんの前へ歩み寄った。運命とはこれほど人を翻弄するものなのか。

妹はかつて原田光紀と婚約していたが、後に逃げ出した。そのせいで原田家と高藤家は仇敵同士となったのだ。

それから二十...

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