第122章

原田夫人が自分を責めるどころか、かえって気遣うような態度を見せたことで、安藤絵美はさらに胸を締め付けられた。

咄嗟にかけるべき言葉も見つからず、彼女はただ黙って原田夫人に寄り添い、原田翁の無事を祈り続けた。

二時間後、救急処置室のランプが消えた。

鈴木雲が出てくるのを見て、原田夫人は慌てて駆け寄り、尋ねた。

「鈴木雲さん、あの人は無事なのですね?」

鈴木雲は着用していたマスクを外し、重々しい表情を見せた。

「全力を尽くしましたが、お爺様を一時的に危険な状態から脱させることしかできませんでした。完全に回復させるには心臓への介入手術が必要ですが、私の現在の技術では、その手術の成功率は...

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