第52章

原田桐也の反応を見て、安藤絵美は彼が栄光不動産株式会社の社長を知っていることが分かった。

しかし、その梶原社長はよい人ではないようだ。さもなければ、原田桐也がこんな表情をするはずがない。

彼女は、自分が質問した以上、原田桐也に正直に話すべきだと思った。

「父は、私に会社を管理させたいなら、会社がずっと獲得できていないプロジェクトを交渉してこいと言ったんです。そのプロジェクトの発注元が、ちょうど栄光不動産株式会社なんです」

「とんでもない話だ。君が会社を引き継ぎたいなら、私が手伝うことはできる。だが、梶原栄光には関わらない方がいい」

原田桐也の目は冷たく沈んでいた。彼は誰かに頼んで、...

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