第54章

梶原栄光は本来なら、フロントに来客を追い返すよう不機嫌に指示するところだったが、フロントの言葉を聞いて興味を持った。

以前、安藤家の次女の婚約式に出席したビジネスパートナーが言っていたことを思い出した。安藤家から三年間姿を消していた長女が突然現れたが、その美しさは安藤丘の次女をはるかに上回るというのだ。

彼は安藤丘の長女が一体どれほど美しいのか、この目で確かめてみたいと思った。

安藤絵美は無事に梶原栄光のオフィスにたどり着いた。

「梶原社長、はじめまして。安藤絵美です」

安藤絵美がオフィスのドアを開けると、儒雅な雰囲気の中年男性が目に入った。

梶原栄光は目を輝かせた。「君が安藤丘...

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