第66章

「お母さん、この人が話していた安藤さんよ。彼女がいなかったら、私たち三人、まだあの地下室で酷い目に遭わされていたわ」

少女はすぐに安藤絵美を母親に紹介した。

中年女性は感謝の念に満ちた表情で、安藤絵美の手を握りしめる。

「安藤さん、今日いらっしゃらなくても、私の方からお礼に伺うつもりでした。あなたがいなければ、いつ娘に会えたことか……」

そう言うと、中年女性の目から涙が溢れ出した。

安藤絵美は慌てて彼女を慰めた。他の二人の少女の家族も、安藤絵美の元へ礼を言いに集まってくる。

その中の一人の少女の祖母に至っては、安藤絵美に土下座しようとさえした。

安藤絵美はすぐにその...

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