第67章

達也は早坂青のことをひどく嫌っていた。一目見た瞬間に「無理」と判断する、あれだ。

彼は早坂青を「おじさん」と呼ぶことすら拒んでいた。

安藤絵美は達也の頭を撫でる。「そんな言い方しちゃだめよ。家に来てくれたお客様なんだから」

達也は口を尖らせて不満を露わにする。「だって、さっき玄関でママに告白してたじゃん。でも、あの人は大叔よりも全然ダメだよ。本当にママが好きならバラを持ってくるべきでしょ。ママはバラしか好きじゃないんだから」

子供にまで嫌味を言われ、早坂青の顔が引きつる。

もっとも、彼は安藤絵美がどんな花を好むかなど知る由もなかった。

いまさら花のことなどどうでもいい。重要なのは...

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