第69章

原田桐也は口元を緩めると、そのまま双子を抱きかかえて中に入ってきた。

そして、彼は安藤絵美に言った。「先に着替えてくるといい。俺がここで、こいつらの相手をしてやる」

安藤絵美は、原田桐也と二人の息子に複雑な視線を向ける。やがて小さく頷くと、自室へと足を向けた。

着替えの最中、古村苗が部屋に忍び込み、絵美の背後に回り込んだ。「絵美ちゃん」

突然のことに、安藤絵美はびくりと肩を震わせる。

「びっくりした……あなた、足音も立てずに歩くなんて忍者か何か?」

安藤絵美は振り返り、呆れた様子で親友を見つめた。

古村苗は「ごめんごめん」という表情を浮かべ、言葉を継いだ。「ねえ絵美ちゃん。桐也...

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