第9章
店内は、鍋から立ち上る湯気で視界が霞んでいたが、私はすぐに西野光の姿を認めた。
彼がクラスの中心グループのメンバー数人と店に入ってきて、席を探しているところだった。
光は私と母の姿に気づいた瞬間、明らかに体をこわばらせた。
彼はすぐさま俯き、体裁を繕うように制服のネクタイを整え、私たちの視線を避けようと試みる。クラスの中心グループの女子たちが彼の異常な反応に気づき、その視線の先を追って私たちを見つけた。
「風紀委員長、あれ葉月さんじゃない?」
ショートヘアの女子が小声で尋ねたが、その声ははっきりと私の耳に届いた。
光は答えず、ただ首を横に振るだけで、その瞳は揺れていた...
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3. 第3章
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