第5章
小島葵視点
「私、直樹にする」
松本美咲のその言葉に、私は飲んでいたコーヒーを噴き出しそうになった。
「え?」私はカップを置き、幸せそうな彼女の顔を見つめた。「本気なの?」
「もちろん、本気よ」松本美咲は興奮した様子で言った。「健太くんのあの派手なアピールは確かに衝撃的だったけど、でもね、健太くんが現れたせいで直樹がむっとして出て行ったのを見た時、私が本当に大切に思ってるのが誰なのか、わかったの」
彼女のためを思えば、心から嬉しかった。本当に。でも、次に彼女が口にした言葉で、私の気持ちは複雑になった。
「葵、二人ともありがとう」松本美咲は私の手を握った。「あなたと隼人先輩の助...
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