第62章 二度と彼に君を傷つけさせはしない

三十分後。

白石凛は黒木蓮の私有地である、香山の別荘に連れられてきた。

香山の別荘は郊外に位置し、静謐で環境の素晴らしい場所だった。

黒木蓮は彼女を抱きかかえて客室へと運び、丁寧に布団を掛けてやった。

「白石凛、ここは俺のプライベートな別荘だ。誰も邪魔しに来ないし、もう誰も君を傷つけることはない。ゆっくり休むといい」

白石凛は聞こえているのかいないのか、ただ虚ろな瞳で天井を見つめていた。

その姿を見て、黒木蓮の胸がちくりと痛んだ。

もし西園寺昴がいなければ、白石凛がこんなふうになることはなかったはずだ。

あの日、白石凛があまりにも揺るぎない眼差しを向けていたからこそ、彼は身を...

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