第31章
喧噪の渦巻く個室を飛び出すと、廊下の突き当たりでは別の部屋から漏れる極彩色のライトが明滅していた。
橘詩織(たちばなしおり)はハンドバッグを握りしめたまま、微かに指先を震わせている。思考は一時停止し、耳の奥には先ほどの不快な野次がいまだにこびりついて離れない。
「義姉さん、どうしたの?」
西園寺快(さいおんじかい)が大股で歩み寄ってくる。その声には疑問の色が滲んでいたが、同時に微かな苛立ちも隠せていなかった。
公衆の面前で顔に泥を塗られたのは、彼にとって初めての経験なのだろう。
橘詩織は下唇を強く噛んだ。先ほどの屈辱的な光景を思い出し、背後にいる男への嫌悪感で胸がいっぱいになる。
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