第44章 私を疑うのか?

白石麻里奈もまた、図ったようなタイミングで顔を上げた。赤く腫れ上がった頬と、涙に潤んだ瞳をさらけ出し、濡れ衣を着せられた被害者として桐島蓮を見つめる。それは無言の訴えだった。

だが、桐島の視線が真っ先に捉えたのは綾瀬美月だった。

彼は麻里奈の頬を気遣う素振りすら見せず、眉を険しく寄せると、美月の手首を乱暴に掴み上げた。

その動作はあまりに俊敏で、美月は反射的に身を引こうとしたが、逆に強く握りしめられる。

桐島は凝視した。華奢な指、柔らかな掌。そこには赤みも腫れもなく、人を強打した時に残るはずの痕跡など皆無だった。

むしろ、彼が強く握りしめたせいで、手首の方が赤く滲んでいるほどだ。

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