第53章 辛い思いをさせた

綾瀬の叔母は恐怖のあまり全身を震わせ、今にも腰を抜かしそうになりながら、首がもげるほど激しく頷いた。その声は涙で湿り、卑屈に上擦っている。

「分かりました! 分かりました! 桐島様、私ごときが愚かでした! 口が過ぎました! もう二度としません! 申し訳ありません! 美月、ごめんなさい! 叔母さんが悪かったわ! 今回だけは許して……」

綾瀬美月は子供を抱きかかえたまま、かつての威勢はどこへやら、前言を翻して媚びへつらう叔母の醜態を冷ややかに見下ろした。

心は凪いでいる。怒りすら湧かず、ただ哀れで滑稽だと思うだけだった。

「失せろ」

桐島蓮は彼女を一瞥するのも汚らわしいと言わんばかりに...

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