第61章 彼女を家まで送る

結局、綾瀬美月への圧力を意図して設けられたその会食は、不快な空気と気まずさを残したまま、予定よりも早く散会となった。

料亭を出る際、桐島蓮は傍らの白石麻里奈に目もくれず、大旗俊夫に短く命じた。

「白石を送っていけ」

そして彼は綾瀬美月に向き直ると、拒絶を許さない口調で告げる。

「乗れ。俺が送る」

白石麻里奈は信じられないといった様子で目を見開き、悔しさと怒りを滲ませて桐島蓮を見つめた。

「蓮、私……」

だが桐島蓮は彼女の声など聞こえていないかのように、径直に自身の車へと歩き出してしまう。

綾瀬美月は内心で悲鳴を上げた。

送ってほしくなどない!

家にはまだ、氷室龍一が隠れて...

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