第7章

健一視点

木曜日の朝、俺はある計画を胸に、礼奈の会社へと足を踏み入れた。

酒井拓也やあの気色悪いクライアントが妻にハラスメントをするのを、ただ黙って見ているのはもう終わりだ。証拠を集め、奴らが吐いた吐き気がするような言葉の数々に対して、きっちりと代償を払わせてやる。

俺は礼奈のデスクに座ると、ボイスレコーダーを起動させたスマホを彼女のハンドバッグに滑り込ませた。そして立ち上がり、コピー機を使うふりをして酒井拓也のデスクの前を通り過ぎる。

「礼奈」

酒井拓也の声が俺を呼び止めた。

「ちょっといいか?」

振り返ると、彼はドア枠に寄りかかり、あの得意げな薄笑いを浮かべていた...

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