第9章
礼奈視点
月曜の朝は、何かが終わり、同時に何かが始まろうとしている、その境界線に立っているような気分だった。
テレビスタジオへ向かう前、私は最後にもう一度だけ健一のデスクに座り、メールチェックをしていた。受信トレイの一番上には、朝の六時に送信された佐藤部長からのメールが表示されていた。
「健一君、お疲れさま。実は君に良い知らせがある。来月から上級プロジェクトマネージャーに昇進が決まった。先日のプレゼンも含めて、これまでの頑張りが認められたんだ。本当におめでとう」
私は画面を見つめ、我が目を疑いながらその文面を三度も読み返した。
私がやったんだ。本当に、彼のためにこれを実現さ...
ログインして続きを読む
チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章
7. 第7章
8. 第8章
9. 第9章
縮小
拡大
