第7章

早坂悠介視点

 悠介はふらつく足取りで玄関をくぐると、そのままドサリとソファへなだれ込んだ。

(なぜ、郁美は家を売った?)

 額に両手を押し当て、混乱する思考を必死に鎮めようとする。あの家は自分たちのものだった。彼女が数ヶ月もかけて細部までこだわり抜き、何よりも愛していた場所だというのに。

「どうしてだ……」

 掠れた声が漏れる。

「なんで、あんなことを」

 その問いが、頭の中で壊れたレコードのように繰り返される。いくら考えても、答えは見つからない。

 不意に、携帯電話が震えた。

 悠介は画面も見ずに掴み取る。

「もしもし」

「早坂様でいらっしゃいますか? プラザホテル...

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