第11章

潜入捜査の件から三ヶ月が過ぎた。そして正直なところ、驚くほど物事は普通になってきていた。賢治はテキストでちゃんとした文章を送ることを覚えたし、私も彼の仕事の帰りが三十分遅れたくらいで軽いパニックを起こすことはなくなった。

『普通、か。エルヴィスと二日酔いで始まった結婚生活にしては、ずいぶん奇妙な概念だわ』

木曜の夜、オフィスビルから出て、夕食はタイ料理にすべきかピザにすべきか頭の中で議論しながら歩いていると、それが聞こえたのだ。

「アキコ・ナガセに告ぐ」

明らかに警察の拡声器を通して、その声は轟いた。

『え?何よ?何が起こったの、秋子隊員はあの一件以来ずっとおとなしくし...

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