第11章

番外編

午後十一時。東京ビッグサイトで開催中の東京コミコンは、まだ熱気に満ちていた。

私は警察官の制服に身を包み、会場周辺の公道を巡回していた。このコミコンのような大規模イベントでは、会場外の安全確保と交通整理が我々警察の任務だった。

正直なところ、こういう大規模なイベントは私たちにとってはただの日常業務だ。三十二にもなれば、この手の光景は嫌というほど見てきたし、様々なコスプレ衣装にもとっくの昔に慣れていた。

「森井、南東の角に酔った女の子がいる。対応してくれ」無線から同僚の声が聞こえた。

「了解した。すぐに向かう」私は指定された方角へ向かった。

角を曲がった途端、一人の...

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