第5章

トゥルルルル!

突然鳴り響いた携帯の着信音は、まるで頭から冷水を浴びせられたかのような衝撃だった。

「会社……からだ」

まだ混乱した頭のまま、私は息を切らしながら言った。

颯斗は私を解放すると、制服を整え、胸が張り裂けそうなほど優しい声で言った。「出なよ。大事なことかもしれない」

私は震える手で電話に出た。「もしもし?」

「香織!」スピーカーから咲良さんの声が飛んできた。「『ジャスティス&ラブ』の男主人公のデザイン、どうなってるの? 明日の朝、取締役会に初期稿を見せることになったんだけど。もう終わってるわよね?」

血の気が一瞬で引いた。終わった。一日中、颯斗のことば...

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