第6章

玄関のドアを開けると、途端に食欲をそそる香りが私を出迎えた。

「わあ! 本当にいい匂い!」思わず歓声を上げた。

「ちょっと見てくる」颯斗はバッグを置くと、足早にキッチンへ向かった。「タイマー機能を使って仕込んでおいたんだ。もう完璧に出来上がってるはずだよ」

すぐに、エプロン姿の彼がキッチンから顔を出した。「完璧! タイミングもばっちりだ」

ダイニングテーブルには、イタリアンパスタ、鶏むね肉の炭火焼き、そして野菜サラダといった、いくつかの美味しそうな料理が並んでいた。豪華ではないけれど、どれも家庭の温かみに満ちている。

「料理、できるんだ!」感動して、泣きそうになった。一人で仕...

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