第6章

ピンポーン——と、玄関のチャイムが鳴った。

「宅配便でーす!」

ドアの外から配達員の男性の声が聞こえる。

私は立ち上がってドアを開け、文化庁の公印が押された白い封筒を受け取った。

心臓が、一瞬にして激しく脈打ち始める。

リビングに戻ると、震える手で封筒を引き裂いた。

『文化庁職員採用試験 第一次試験合格通知書……』

視界がぼやけ、涙がこぼれ落ちそうになる。

「合格した! 本当に合格したんだ!」

私の興奮が伝わったのか、小百合は小さな手を叩いてきゃっきゃと笑い続けている。

一ヶ月の努力。毎朝五時に起きて暗記し、深夜まで問題を解き続けた日々が、ついに報われた。...

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