第10章
高橋健太視点
ヒルトンホテルの大宴会場は、集まった広告業界のエリートたちで煌びやかに輝いていた。俺はオーダーメイドのスーツに身を包み、ステージ上で「最優秀クリエイティブ賞」のトロフィーを握りしめていた。割れんばかりの拍手が部屋に満ちていた。
だが、俺は真実を知っていた――「本当のヒーローは俺じゃない。成実なんだ」と。
観衆に視線を走らせ、隅にいる彼女を見つけ出した。成実はシンプルな黒いドレスを着て、目立たないように座っている。それでも俺の目には、部屋にいる誰よりも彼女が輝いて見えた。
「この度はこのような栄誉をいただき、誠にありがとうございます……」俺は定型文の受賞スピーチを始...
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チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章
7. 第7章
8. 第8章
9. 第9章
10. 第10章
11. 第11章
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