第31章 一人がとても怪しい

車津が席に着くと、千葉晴美は静かに隣へと身を寄せた。幸いにもこのカフェにはテーブルクロスがあったので、隠れることができた。さっき車津に見られていたら、間違いなく疑われ、賀川令から自分へと追跡され、正体がバレてしまうところだった。

パソコンを開くと、彼は流れるような操作を始めた。賀川令は彼が何をしているのか見ようともせず、ふざけた様子で口笛を吹きながらコーヒーを飲み、至って自然な態度を保っていた。

車津は彼を一瞥したが、賀川令の表情からは何の手掛かりも読み取れなかった。パソコンには確かにゲームのログイン履歴があったが、それ以外は何も見つからなかった。いくつかのソフトはロックされていた...

ログインして続きを読む