第43章 キスはできるのか?

人に頼んでやっと手に入れた大事なものだぞ

千葉晴美の反応は、また一度古宮桐也を失望させた。

「知ってるわよ、誰かから聞いたもの」

古宮桐也は唇の端を引き締めた。

「それなら、もう少し大切に扱うべきだろう」

「所詮はただのスカートじゃない。あなたたち名門の方々がパーティーに出席する時、ドレスって一度しか着られないんでしょう?だからこのスカートは今の私にとっては、ただの飾りよ。普段着ていくところもないし、パーティーにも二度と着られない」

千葉晴美は平然とした顔つきで、まるで誰かが金と銀の財宝を目の前に並べても動じないかのようだった。

古宮桐也は思わず額に手を当てて溜...

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