さよなら、偽りの私。~十年間の憑依を乗り越え、クズな彼の求婚を叩き割る~

さよなら、偽りの私。~十年間の憑依を乗り越え、クズな彼の求婚を叩き割る~

間地出草 · 完結 · 35.6k 文字

1.1k
トレンド
1.7k
閲覧数
489
追加済み
本棚に追加
読み始める
共有:facebooktwitterpinterestwhatsappreddit

紹介

私の名前は菊池 百合子 (きくち ゆりこ)。山奥の村で育った、貧しい少女。

十年前、傲慢な御曹司・高峯 恭平 (たかみね きょうへい) のくだらない賭けのせいで、私の魂は悪霊に乗っ取られ、身体の自由を完全に奪われた。

それから十年。私は意識の奥底で、「自分」が恭平の完璧な恋人を演じ続けるのを見ていることしかできなかった。従順で、物分りが良く、決して逆らわない操り人形として。

本当の私は、身体という檻の奥深くで、声にならない叫びを上げ続けるだけ。

そんな私を覚えているのは、幼馴染の相田 颯馬 (あいだ そうま) だけだった。彼はどんな代償を払ってでも私を救い出す方法を探し続け、決して諦めなかった……。

そして、天音阁でのあの夜。ついに、私は身体の主導権を取り戻した。

恭平が片膝をつき、何千万もするダイヤモンドの指輪を手にプロポーズしてきたその瞬間、私は十年もの間、ずっとやりたかったことを実行した——

全世界が見守る前で、その指輪を叩き割ったのだ。

「ゲームは終わりよ、このクズ!」

チャプター 1

百合子視点

天音閣は目映い光に満ち、むせ返るような高級香水の香りが立ち込めていた。私はステージの中央に立ち、スポットライトを浴びたヴァイオリンが妖しい輝きを放っている。二千八百の客席は、熱気を帯びた視線で埋め尽くされていた。

弦の上を指が踊り、旋律が液体水銀のように流れ出す。けれど、この音を奏でているのが本当の私ではないことだけは、はっきりと分かっていた。

本当の私は、この身体の奥深く……意識という名の暗い地下室に閉じ込められている。小さな窓から、ぼんやりと外の世界を覗き見ることしか許されない囚人。十年。この十年もの間、私は己の肉体という牢獄に繋がれていたのだ。

二百年前に死んだオーストリアの女、イリス。そいつが私の身体を乗っ取り、己の夢を叶えている。私を世界的なヴァイオリニストに仕立て上げ、そして、客席にいるあの男と『恋に落ちさせた』。

ああ、忌々しい。この熱狂する観客たちが真実を知ったら、一体どんな顔をするだろう。

最後の一音がホールに溶けて消えると、嵐のような拍手が巻き起こった。

最前列から、高峰恭平が立ち上がる。完璧に仕立てられた黒のタキシードに身を包み、寸分の乱れもなく撫でつけられた髪。その手には、十億円は下らないというピンクダイヤモンドの指輪を収めた、ベルベットの小箱が握られていた。

彼はステージの縁まで歩み寄ると、恭しく片膝をついた。

「百合子、僕の女神!」

マイクを通した声が、ホール全体に朗々と響き渡る。

「この十年、君は僕の全てだった。どうか、僕と結婚してください!」

観客が息を飲む。無数のカメラのシャッター音が、まるで機関銃の掃射のように鳴り響いた。

けれど、私の内側では激しい吐き気が込み上げていた。本気で、その場にすべてをぶちまけてしまいそうだった。

笑わせるな。この男が、十年も私を愛していただと? 十年前、あいつは私をただの賭けの駒としか見ていなかった。山奥から出てきた貧しい娘。永都芸術学院に通っていた、金持ちの坊ちゃんたちの格好の玩具だったのだ。

自分の唇が、優美な弧を描くのを感じる。またイリスが、私の表情を操っている!

『やめて! こいつのプロポーズを受けるな! あんたを愛してるわけがない!』

私は意識の檻の中で絶叫した。脳内に、イリスの嘲るような声が響く。

『黙りなさい、小娘。恭平は完璧な夫よ。富と権力を持ち、そして何より――この私に心酔している』

『あいつが惚れているのは、この身体だけだ! あんたじゃない、この亡霊が!』

必死にもがくが、イリスの支配は鉄のように固い。

『同じことよ。この身体は、もう私のものなのだから』

自分の手が、ゆっくりとダイヤモンドの指輪へと伸びていくのが見えた。駄目だ、やめろ! 颯馬を裏切るような真似はさせない!

「恭平さん、私……」

イリスが「はい、喜んで」と答えようとしている。

『やめろ! この亡霊が! 私の身体から出ていけ! 私には、愛する人がいるんだ!』

私は精神の牢獄に、ありったけの力で体当たりした。

『あの颯馬とかいう男のこと?』イリスが甲高い声で笑う。『哀れなものね。十年も経てば、とうにあなたのことなど忘れているわ。もしかしたら、もうこの世にいないかもしれない』

『違う!』

ナイフで抉られるような痛みが、心臓を貫いた。

『颯馬が私を忘れるはずがない! 彼は、きっと待っていてくれる!』

絶望が私を飲み込もうとした、まさにその時だった。どこからか、温かく、そして力強い不思議な力が、私の意識の底へと流れ込んできたのは。

その力は優しく、だが抗いがたく私の精神に広がり、かつてない勇気を奮い立たせてくれた。

『な……ありえない……』

初めて、イリスの声に焦りの色が混じった。

『誰が私の支配に干渉しているの?』

誰かは分からない。けれど、これが最後の好機であることだけは確信できた。

私は歯を食いしばり、この謎の力を借りてイリスの精神支配に激しくぶつかった。十年分の怒りと、痛みと、絶望の全てをぶつけるように――!

『お前は私の人生をめちゃくちゃにした!』私は魂で咆哮した。『私の身体を奪い、愛する人を裏切る様を、ただ指をくわえて見ていることしかできなかった!』

イリスの精神を縛る鎖が震え、微かな亀裂が入る。

『いやあああ!』イリスが狂ったように叫ぶ。『この完璧な肉体を手に入れるために十年を費やしたのよ! 私は女王として生きる資格がある!』

『何一つ、あんたのものじゃない!』

謎の力が、無限に力を与えてくれる。私は攻撃の手を緩めなかった。

『これは私の身体! 私の人生よ!』

パキン、と。乾いた音が響いた気がした。

ついに、精神を縛り付けていた枷が砕け散ったのだ。

瞬間、身体の主導権が雪崩のように戻ってきた。縛られていた感覚が嘘のように消え失せ、指先から足の先まで、肌の隅々までの感覚が蘇る。十年ぶりに、私の意識は完全に澄み切っていた。

ひとつ瞬きをする。世界が、信じられないほど鮮やかに目に映った。色彩はより濃く、音はより澄んで聞こえる。

私は眼下で跪く恭平を見下ろした。その期待と得意げな光に満ちた顔に、胃の腑が煮えくり返る。

恭平はまだ、あの吐き気を催すような笑みを顔に貼り付けたまま、私の答えを待っている。観客は固唾を飲み、世界中のカメラが私たちに焦点を合わせていた。

私は手を伸ばした。恭平の眉がぴくりと跳ね、勝利を確信したように口元が耳まで裂けんばかりに歪む。

私は、差し出されたダイヤモンドの指輪を、ゆっくりと受け取った。

ホール全体が、墓場のように静まり返った。

そして、その十億円の『愛の証』を頭上高く掲げると、満場の観客が固唾を飲んで見守る中――大理石の床へと、力任せに叩きつけた。

ガシャァァン!

甲高い衝撃音が、水を打ったような静寂を引き裂いた。指輪が跳ね、巨大なダイヤモンドが歪んだ台座から外れて私の足元に転がる。私はハイヒールの踵で、歪んだプラチナのリングを執拗に踏みつけた。それが原型を留めないほど、ぐにゃりと捻じ曲がるまで。

死のような沈黙が、ホールを支配した。

「な、なんだ……百合子……」

恭平が、口をあんぐりと開けて呆然と呟く。

「黙れ!」私は彼の鼻先を指差して叫んだ。「十年前に永都芸術学院でした賭けを覚えている? 一週間で田舎娘をモノにする――賭け金は、あんたのクソみたいなマセラティだったわよね!」

ホールは静まり返り、自分の心臓が狂ったように高鳴る音だけが聞こえた。

「百合子、ダーリン、何を言って……」

恭平が狼狽しながら近づこうとする。

「気安く呼ばないで!」私は一歩後ずさった。「それから、高峰百合子と呼ぶな! 私は菊池百合子――あんたたちが面白半分で弄んだ、あの惨めな田舎娘よ!」

そして私は、この十年、ずっとやりたかったことを実行した。

バシンッ!

乾いた音がホールに響き渡り、恭平の身体がぐらりとよろめいた。彼の左頬はみるみるうちに腫れ上がり、真っ赤な手形がくっきりと浮かび上がっている。彼は己の頬を押さえ、衝撃に言葉を失っていた。

「ゲームは終わりよ、クズが」

脳裏で、イリスが断末魔の叫びを上げた。

『いやあああ! この女――』

そして、その声はぷつりと消えた。永遠に。

私は、自由になった。

ホールは、一瞬にして混沌の渦に叩き込まれた。報道陣が狂ったようにカメラを向け、観客は席から立ち上がり、スタッフがステージへと駆け寄ってくる。

逃げなければ。

「彼女を捕まえろ! 気でも狂ったんだ!」恭平が腫れた頬を押さえながら怒鳴った。「警備員! 何をしている、逃がすな!」

私は走り出した。ハイヒールがステージをけたたましく打ち鳴らし、心臓が喉から飛び出しそうだ。

三人の警備員がステージの左手から回り込み、私を取り囲もうとする。構わない。その中で一番線の細い男を目がけて、真っ直ぐに突進する。彼が私を掴もうと腕を伸ばした瞬間、私は渾身の力でその身体を突き飛ばした。男が体勢を崩した一瞬の隙を突き、その脇をすり抜ける。

ステージを飛び降り、楽屋裏へと駆ける。この忌々しいドレス! 動きを妨げるハイヒールを脱ぎ捨て、手に持って裸足のまま走り続ける。冷たい床が足の裏を刺したが、気にしてはいられなかった。

廊下の先で、大柄な警備員が仁王立ちになり、両腕を広げて私の行く手を阻んだ。私が怯んで足を止めるとでも思ったのだろう。その油断を突き、一気に加速して右へとフェイントをかける。彼の重心がずれた瞬間、逆の左へと切り返し、壁際をすり抜けた。

前方から、さらに増援が駆けつけてくる。とっさに近くの楽屋のドアを押し開けて中に飛び込み、間髪入れずに鍵をかけた。

ドアが外から激しく叩かれ、ノブがガチャガチャと音を立てる。部屋を見回し、窓を見つけた。三階……。かなりの高さだ。けれど、あの男に捕まるよりは、万倍マシだ。

化粧台に置いてあった仕事用のジャケットを掴み、派手すぎるイブニングドレスの上に羽織る。

化粧台によじ登り、窓をこじ開けた。十一月の永都の夜風が、刃物のように頬を切り裂いていく。眼下は、ゴミ箱や段ボールが散乱する薄暗い路地裏だった。

背後でドアを蹴り破る轟音が響き、蝶番が軋む音が聞こえる。もう、長くはもたない。

「くそっ……」

ごくりと唾を飲み込む。口の中に、恐怖の苦い味が広がった。

バンッ! 凄まじい音と共にドアが破られ、三人の警備員が雪崩れ込んできた。

「窓だ! 飛び降りさせるな!」

だが、一足遅い。私はすでに窓枠の上に立っていた。

「ごめん、颯馬。もし死んだら、今度こそ会いに行くから」

心の中で最愛の人の名を呟き、そして私は、夜の闇へと身を躍らせた。

最新チャプター

おすすめ 😍

離婚後、産婦人科で元夫に会っちゃった

離婚後、産婦人科で元夫に会っちゃった

21.5k 閲覧数 · 連載中 · 蜜蜂ノア
三年間の隠れ婚で子供を授からなかった彼女。
義母からは「卵も産めない雌鶏」と罵られ、義姉からは「家の厄介者」と蔑まれる日々。

せめて夫だけは味方だと信じていたのに――。
「離婚しよう。あの人が戻ってきたんだ」

離婚後、病院で元妻が三つ子の健診に来ているのを目撃したセオドア。
皮肉にも、その時彼は初恋の人の妊娠検査に付き添っていた。

怒りに震える彼の叫び声が、病院の廊下に響き渡る。
「父親は誰だ!?」
社長、奥様が亡くなりました。ご愁傷様です

社長、奥様が亡くなりました。ご愁傷様です

15.2k 閲覧数 · 連載中 · 青凪
お金と特権に囲まれて育った私。完璧な人生に疑問を持つことすらなかった。

そんな私の前に彼が現れた―
聡明で、私を守ってくれる、献身的な男性として。

しかし、私は知らなかった。
私たちの出会いは決して偶然ではなかったことを。
彼の笑顔も、仕草も、共に過ごした一瞬一瞬が、
全て父への復讐のために緻密に計画されていたことを。

「こんな結末になるはずじゃなかった。お前が諦めたんだ。
離婚は法的な別れに過ぎない。この先、他の男と生きることは許さない」

あの夜のことを思い出す。
冷水を浴びせられた後、彼は私に去りたいかと尋ねた。
「覚えているか?お前は言ったんだ―『死以外に、私たちを引き離せるものはない』とね」

薄暗い光の中、影を落とした彼の顔を見つめながら、
私は現実感を失いかけていた。
「もし...私が本当に死んでしまったら?」
自由への転生

自由への転生

13.7k 閲覧数 · 連載中 · 午前零時
これは、逆境から見事に蘇った勝利の物語である。裏切りに遭った彼女は、勇敢に離婚を決意し、成功への道を歩み始める。画家としての才能を活かし、周りの人々を驚嘆させていく。後悔に満ちた元夫は、彼女を必死に追いかける狂おしい求愛者と化す。同時に、彼女は自身のルーツの謎を解き明かし、実の父親を見つけ出し、豊かな家族愛を手に入れる。彼女の人生は、まるで勝利の連続のように、仕事も恋も花開いていき、読者を虜にする目が離せない展開となっている
真実の愛 ~すれ違う心と運命の糸~

真実の愛 ~すれ違う心と運命の糸~

38.6k 閲覧数 · 連載中 · yoake
彼女は6年間、彼を一途に愛し続けてきた。
億万長者の夫の心を、深い愛情で掴めると信じていた。

しかし衝撃的な事実が発覚する。
彼には愛人がいた―障害を持つもう一人の女性。

彼はその女性に最高の幸せと優しさを与え、
一方で彼女には冷酷な態度を取り続けた。

その理由は、かつて自分を救ってくれた恩人を
その女性だと思い込んでいたから。
実際には、彼女こそが真の恩人だったのに―。
妊娠を隠して退職…社長は後悔の涙を零す

妊娠を隠して退職…社長は後悔の涙を零す

14.1k 閲覧数 · 連載中 · 午前零時
予期せぬ妊娠が、報われない愛の現実と向き合わせた時、彼女は気づいた。もう、痛みしかもたらさない愛のために、自分を犠牲にはできないと。かつては希望に満ちていた心は、今は疲れ果て、前に進めなくなっていた。彼女は決意した。この傷つきと願いの循環から抜け出すことを。

しかし、彼女の沈黙と忍耐に慣れていた彼は、彼女を手放すことを拒んだ。彼女の心を取り戻そうと必死になる中で、彼は気づき始めた。本当の幸せは、ずっと彼女の手の中にあったことを...
転生して、家族全員に跪いて懺悔させる

転生して、家族全員に跪いて懺悔させる

13.6k 閲覧数 · 連載中 · 青凪
婚約者が浮気していたなんて、しかもその相手が私の実の妹だったなんて!
婚約者にも妹にも裏切られた私。
さらに悲惨なことに、二人は私の手足を切り落とし、舌を抜き、目の前で体を重ね、そして私を残酷に殺したのです!
骨の髄まで憎い...
しかし幸いなことに、運命の糸が絡み合い、私は蘇ったのです!
二度目の人生、今度は自分のために生き、芸能界の女王になってみせる!
復讐を果たす!
かつて私をいじめ、傷つけた者たちには、十倍の報いを受けさせてやる...
愛人のために離婚届にサインしたら、元夫が泣いて復縁を求めてきた

愛人のために離婚届にサインしたら、元夫が泣いて復縁を求めてきた

9.1k 閲覧数 · 完結 · 渡り雨
「サインしろ。それを書けば、俺たちは離婚だ」
夫である佐藤隆一は無情にそう言い放った。
緘黙症を患う私は、何も言わずに離婚届にサインをした。

「おい、本当に離婚するのか?」と、隆一の友人が尋ねる。
「大丈夫だ。一ヶ月もしないうちに、あいつは俺の元に戻ってくるさ。俺から離れられるわけがない。だって、あいつは声も出せないんだからな」

彼らの会話を、私は黙って聞いていた。
その時、スマートフォンに一通のメッセージが届く。
『京都に旅行でもどう? 気分転換しに』

この瞬間から、私の人生は違う軌道を描き始めた。
出所したら、植物状態の大富豪と電撃結婚しました。

出所したら、植物状態の大富豪と電撃結婚しました。

12k 閲覧数 · 連載中 · 青凪
5年前、私は誰かの身代わりとなり、無実の罪で投獄された。
出所すると、母親は彼女が獄中で産んだ二人の子供を盾に、植物状態にある億万長者との結婚を強いる。
時を同じくして、その悲劇の大富豪もまた、家族内での権力闘争の渦中にいた。

街では植物状態の男が若い花嫁とどう初夜を過ごすのかと噂される中、この元囚人が並外れた医療技術を秘めていることなど、誰も予想だにしなかった。
夜が更け、無数の銀鍼(ぎんしん)が打たれた男の腕が、静かに震え始める…

こうして、元囚人の彼女と植物状態の夫との、予期せぬ愛の物語が幕を開ける。
突然の結婚で、大物に溺愛されました

突然の結婚で、大物に溺愛されました

12.4k 閲覧数 · 連載中 · 鯨井
婚約式の三日前、婚約者が義理の妹と不倫している現場を目撃してしまった彼女。深く傷つき、絶望の中、激しい雨の中をさまよっていた時、一人の男性に助けられる。

「やっと、見つけた」

男性は彼女を大切そうに抱きしめながら、そうつぶやいた。

一夜の過ちから始まった突然の結婚。しかし後になって、その男性が財務部の大臣であり、大手企業グループのCEOだということを知る。そして更に、失われていた8年間の記憶の中に、自分が並々ならぬ身分の持ち主だったという事実が徐々に明らかになっていく……
ブサイクな男と結婚?ありえない

ブサイクな男と結婚?ありえない

47.9k 閲覧数 · 連載中 · 来世こそは猫
意地悪な義理の姉が、私の兄の命を人質に取り、噂では言い表せないほど醜い男との結婚を強要してきました。私には選択の余地がありませんでした。

しかし、結婚後、その男は決して醜くなどなく、それどころか、ハンサムで魅力的で、しかも億万長者だったことが分かったのです!
冷酷社長の愛の追跡、元妻の君は高嶺の花

冷酷社長の愛の追跡、元妻の君は高嶺の花

3.4k 閲覧数 · 連載中 · 午前零時
「離婚しましょう」——夫が他の女性と恋に落ち、私にそう告げた日。
私は静かに頷いた。

離婚は簡単だった。でも、やり直すことはそう簡単にはいかない。

離婚後、元夫は衝撃の事実を知る。私が実は大富豪の令嬢だったという真実を。
途端に態度を豹変させ、再婚を懇願して土下座までする元夫。

私の返事はたった一言。
「消えろ」
義理の兄と取り残されて

義理の兄と取り残されて

4.5k 閲覧数 · 連載中 · M. Francis Hastings
「ジェイシー、触らせて。気持ちよくしてあげたい」ケイレブは囁いた。

「もう十分気持ちいいわ」私は思わず口走った。彼の手が触れる度に、体が心地よくゾクゾクしていた。

「もっと気持ちよくできるよ」ケイレブは私の下唇を軽く噛みながら言った。「いいかな?」

「な、何をすればいいの?」

「リラックスして、目を閉じて」ケイレブの返事と共に、彼の手がスカートの中へ滑り込んでいき、私は強く目を閉じた。
***

ケイレブは私の22歳の義理の兄。私が15歳の時、衝動的に彼への想いを告白したけど、彼は笑って部屋を出て行った。それ以来、気まずい関係が続いている。

今日は私の18歳の誕生日。私たち家族でキャンプに行くことになった。私の父と彼の母と。楽しいわね。できるだけケイレブと顔を合わせないように、意図的にはぐれようと思っている。

結局、本当に道に迷ってしまったけど、ケイレブも一緒。そして人気のない山小屋で二人きりになった時、私は気付いた。彼の私への気持ちは、私が思っていたのとは全然違うって。

実は、彼は私のことを!

でも、私たちは義理の兄妹。両親に見つかれば殺されるわ――もし今ドアを叩き壊して入ってきた密林業者たちが、先に私たちを殺さなければの話だけど。