第7章

 あれから、一ノ瀬蓮は高熱を出したらしい。

 入院もしたとか。

 容体はよくないらしい。

 一ノ瀬の母から電話があり、病院に見舞いに行ってやってくれないかと頼まれた。

 私は丁重にお断りした。

 それからの日々、私は毎日その大学病院へ通った。

 見舞いではない。婚約者を迎えに行くためだ。

 黒沢大和は最近、極めて難易度の高いバイパス手術を抱えており、深夜まで忙殺されていた。

 その夜、東京は春の終わりとは思えぬ寒の戻りに見舞われ、空からは細雪が舞い始めていた。

 私は病院の地下駐車場で、エンジンを切らずに暖房をかけたまま、静かに彼を待っていた。

 コンコン、と窓が軽く叩か...

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